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眼が覚めたら
ふくろのなかは砂糖でいっぱいだよ
端から端まで
こむぎこのふみふみした
魔法でいっぱいだよ
「ドアを開けたら真澄が立っていた。少し泣いた顔だった。」
あのね静かな
池のこと考えてたの
水面はインクみたいに黒くて、水平線まで眼を下ろすと、ぎらぎらと銀にひかるの
鉄条網のような羊歯類が、表面をなぞっていく
「夜空に雷が落ちるのを
飛行機のうえからみてた。」
台風を避けた飛行機から、見下ろした真夜中二時のベトナムの町。
雨に絡まって破れた蜘蛛の巣のように、電飾が陸と海の境を縫っていた。
山と山のあいだを呼び交わす鉄塔の明かりが
みえないほど遠くに、つながっていた。
波頭は凍りついていた。
動きを見る前に追い越してしまうから、
ぜんぶ凍ってみえた。