『鬼が来た』をビデオでみた。たぶん最後まで油断できないぞと思って、油断しなくて良かった。殺したり殺されたり、味方になったり敵になったり、捕虜になったり捕虜にされたり、喜んだり泣いたり、悲劇と喜劇が、反射して、交じり合って、決着がつく。日本軍ってほとんどヤクザだね。(あとアメリカ人がずっとガム噛んでて可笑しい。)

あんまり人間らしいので、もうしかたがないかなぁ、という気がして、最後はもう悲しくなかった(殺す殺される殺さない殺せない弱さも強さも裏切り裏切られることも、突発的衝動も曲がった論理も、おなじ人間の一面だという感じ(優しさは、儚い。))だから、あの男は成仏したのかもしれないと思うラストだ。

「やらなきゃやられる」という状況下では、どんなこと気が狂った論理(論理なんだ。理詰めで追いつめるのだ)でも幅をきかす。なかまはずれにならないためには、だれかを殺すことがすなわち踏み絵になる状況下では、殺人できる。そうならない回路を組み込めないのか。